年号を書くときに、「西暦を使うのか、昭和・平成などの元号を使うのか?」に迷うことがありますね。
編集の立場だと、執筆者からこれらが入り混じって入稿することもあり、もっと悩むかもしれません。「西暦」「元号」の呼称も厳密には議論がありそうですが、ここではとりあえず、「2014年」みたいなのを「西暦」、「昭和」「平成」みたいなのを「元号」と呼ぶことにします。
西暦や元号の表記ルールの選択肢
お役所や金融機関などでは元号が標準的に用いられますが、民間で発行物をつくるときには、特に決まりはありません。ただし、ひとつの発行物の中では、統一したルールを持つべきです。
表記ルールは、掲載する情報や、関係者の意向、読み手にとってどちらがよいか、などを総合的に判断して決めます。選択肢としては、次のようなものがあります。
- 西暦のみ 例)2015年
- 元号のみ 例)平成27年
- 西暦優先で併記 例)2015年(平成27年) 2015(平成27)年
- 元号優先で併記 例)平成27年(2015年) 平成27(2015)年
3の西暦優先で併記・4の元号優先で併記するときは、最初は併記して、2回目以降に出てくるときは優先年号のみを書くこともあります。章が変わったら併記し直すかなどは、一定のルールに基づきます。
西暦は、これも一定のルールのもとになりますが、2回目から下2桁だけを使うやりかたもあります。平成を「H」とするようなやりかたや、年月日を「.」でつなぐやりかたもあります。
それから、本文ではきちんとした表記にして、図表で年号を扱う場合は簡易な表記にするなど、本文と図表で使い分けるようなパターンもあります。
そして、重要な点。
西暦はキリスト教を背景としたものであり、元号は神道や天皇制が背景にあります。
卒業証書に書かれる年号について裁判が起こされた例もありますから、例えば「西暦のほうが数字がずっと連続するから分かりやすい」などの効率面だけで安易に決めつけるわけにはいきません。
統一ルールでの書き換えは執筆者に断ったうえで行う
こうした表記ルールは、本来は執筆要項という文書にまとめておくものです。文字数の多い原稿を依頼するときは、依頼時に執筆要項を添えて依頼することが多いです。
しかし、小規模の発行物だと、あらかじめ執筆要項をまとめるのが難しいこともあるでしょう。そもそも執筆要項というものが要ることも、知られていなかったりするかもしれません。
そうすると、原稿が集まってみてから、「表記がバラバラだ! どうしよう!?」となったりします。
その場合は、入稿後に、編集サイドや発行者サイドで表記ルールを決めることになります。そして、そのルールに従って、必要な書き換えを行います。
編集担当者といえども、執筆者の了解なく書き換えることは許されません。だから、少なくとも校了になる以前に、「こんな表記ルールで統一しています」ということを執筆者に知らせるようにします。
西暦・元号の使い分けについては、先述したように個人的な信条や考えに関わることもありますから、特に注意が必要です。