今、アンケート調査は回答者が入力して答えるものが多いですね。回答する側は封入・郵送の手間が省けます。調査する側は、回答を手入力せずに済みます。
調査用紙を配布するのではなく、パソコンやスマホの画面で入力するアンケート調査は、どうやって実装するのでしょうか?
まず、ウェブページに設置された入力フォームで回答してもらうことが考えられます。
入力フォームとは、ウェブページに質問と入力欄があって、ユーザーが入力欄に直接入力できるようになっているものです。「申込画面」などで頻繁に目にされていると思います。
入力ミスが生じないことはもちろん、自動的にデータベースができるため回答状況が随時分かり、リアルタイムで集計・分析を確認できます。
手軽な入力フォームシステムの代表格は、Googleフォームです。
何といっても、無料です。
Googleアカウントさえあれば(これも無料で取れます)、簡単な操作で設置できます。
講座参加者へのアンケートや、サービス・商品の感想を尋ねるような、「一問一答」的な設問で 質問数が少ない場合は、Googleフォーム一択でいいくらいです。
でも、もう少し細かくニーズ調査や現状調査をする場合は、Googleフォームでは回答しにくかったり、調査票の見栄えに限界があったりします。
今回、非営利団体からアンケート調査のデジタル化についてご相談いただきました。非営利団体でよくありそうなアンケート調査の規模で、紙の調査票で5~10ページくらい、回答数が数百件程度までのアンケートです。
また、調査の実施頻度は数年に1回程度と思われましたので、単発アンケートを前提としました。
エクセルでアンケート調査票を作成し配布・回収
まず、入力フォームを使わないやり方として、エクセルファイルを使うアンケート調査を紹介します。
- 調査票をエクセルで作成する。できるだけ、集計時にミスが出にくくスムーズになるよう入力の制御をセルに設定し、集計の自動化を想定して作成するとよい。
- 作ったエクセルファイルをメールに添付して配布するか、IDとパスワードを設置した非公開ページを作ってダウンロードできるようにする。
- 回答者の手元のパソコンで、メール添付かダウンロードで入手したエクセルファイルに入力してもらう。
- 調査票の回収は、入力して保存したエクセルファイルを回答者からメールに添付して返してもらうか、アップロードページを作成してアップロードで返してもらうか、など。
- 集計は、エクセルのパワークエリ機能やマクロ(VBA)を使うと、比較的少ない労力で集計できる。
この方法は、 エクセルに慣れていれば手軽で、プロセスを把握できる安心感もあります。
デメリットは、回答1件につき1つのエクセルファイルが返ってくるので、回答ファイルの整理と集計に労力がかかる点と、人の手が入るためミスが出やすいという点です。
エクセルに習熟していないと扱いにくいという点も、人によってはデメリットになるでしょう。
アンケート調査システムに求めたい機能と選択のポイント
では、入力フォームで回答してもらうタイプのアンケート調査システムについては、どのようなものがあるでしょうか。
アンケート調査システムは、実はたくさんあります。
特に、企業が顧客分析や商品開発のための市場調査をするときに向いているシステムが充実しています。
ただし、それだと今回想定している、紙の調査票で5~10ページくらい、回答数が数百件程度までの単発アンケート にはちょっと合いません。
そこで、さらに考えて下記の3条件を追加して、手頃な価格のアンケート調査システムを探してみました。
各サービスともグレードが設けられていて、機能と価格が異なるプランが複数ありますので、プランまで絞って紹介しています。
・マルチデバイス(レスポンシブデザイン)
個人が回答することが想定される場合は、ユーザーが見ているデバイスに応じて、パソコン・スマホ・タブレットに適した入力画面が表示される必要があります。
・データをダウンロードしてエクセルで使用できる
オリジナルデータを、CSVなどでダウンロードしてエクセルに読み込むことができること。通常、画面上で主な集計結果を表示できますが、用意された表示では足りないときのために、自分でデータ加工できることが条件になります。
・マトリックス機能がある
マトリックスは、行と列の表形式で回答できるスタイル。「行の中で一つだけチェックする」「行の中で該当するものをすべてチェックする」が、一般に実装されています。
数値入力をマトリックスレイアウトでできればベストなのですが、それは見つかりませんでした。
あらかじめ考えておくこと
アンケート調査システムの費用は、フォーム数(何種類のアンケートを取るのか)、設問数、回答数、使用期間によって変わることがあるので、まずそれらの目安を洗い出しておくとよいです。
また、機能の違いでは、
・ アンケートは1ページでよいか、それとも複数ページに区切る必要があるのか。
・回答によって異なる問いに推移する分岐が必要か。
……によって、プランのグレードが変わることがあります。この点も考えておくとよいでしょう。
それでは、具体的なアンケート調査システムを紹介していきます。
1.WEBCAS formulator ASP型・スタンダードプラン
株式会社WOW WORLD(ワオワールド)
- 初期費用55000円~、月額費用33000円~
- 最低利用期間1カ月~
- アンケート作成数5個まで
- 1アンケートにつき1ページのみ
- 設問数400個まで
- 回答者数無制限
- 回答者のログイン設定可能
WEBCAS formulatorの中で、 ASP型・スタンダードプランは最小のサービスですが、 それでも担当営業パーソンが付き、カスタマーサポートは無料です。一度作ったアンケートはテンプレート登録ができ、コピーして書き換えて別のアンケートを作成できます。
もう1ランク上の「エキスパートプラン」は、1フォームを複数ページに区切ることができます。料金は不明。
→ WEBCAS formulator (公式サイトにリンク)
2.スマイルサーベイ ADHOC(アドホック)プラン
株式会社イング
- 回答者数による従量制 44000円~とあるが、回答数1000件まで11000円のウィンドウが出るため、加算して計55000円か
- アンケート作成数無制限
- 設問数無制限
- 設問の分岐推移可能
- 回答数の従量制で課金
- 管理アカウント数10件まで
- 回答者のログイン設定可能
アンケート回答者へのお礼メールはオプションとなり、月額11000円。
アドホックコースは30日以内で終了する場合にお勧めのコースとなっており、継続用の最小コースとしてSTANDARD(スタンダード)コースがあります。スタンダードコースは、初期費用なしで月額33000円。最低契約月数は不明。
→スマイルサーベイ(公式サイトにリンク)
3.Cuenote Survey プロフェッショナルプラン
ユミルリンク株式会社
- 初期費用55000円
- 月額費用19800円+回答数301~3000件で3960円(各月でカウント)
- 最低利用期間3カ月
- アンケート作成数3個まで
- 設問数100個まで
- 複数ページにわたるアンケートを作成した場合に分岐推移可能
- 回答数の従量制で課金
- 回答者のログイン設定ができるか不明
作成済みアンケートのコピーや、設問のコピーができます。 マトリックス機能が不要で設問数50個までなら、スタンダードコース(16500円)がよさそう。
→Cuenote Survey(公式サイトにリンク)
4.サーべロイド
株式会社マーケティングアプリケーションズ
- 設問数×回答数×11円(最低価格11000円)
- 設問の数え方の注意として、数値・回答ボックス小は1問のボックス5個までが1問。回答ボックス大は1個のみで1問となる。選択肢は30個まで、マトリックスは縦×横が50個までが1問
作成画面のURLを配布して回答してもらいます。アンケート画面へのアクセス時に固有の認証パスワードを設定することも可能です。
なお、動画挿入、マトリックスの左右両側に項目を入れる、選択肢を引き継ぐ、マトリックスの縦横の入れ替え、マトリックスの表の上部を繰り返し表示などの指定機能を使用すると、単価15円(税別)になります。
→サーベロイド(公式サイトにリンク)
以上になります。
入力フォームと集計結果表示などが用意されているアンケートシステムは、用途に最適化した設計がされていますので、 選ぶ際には使用目的を明確にして、必要な機能をどの程度満たしているかをしっかり調べましょう。
ご覧いただいたように、初期費用がいるものもありますし、簡単といっても使い方を覚えるのに一定の手間はかかります。あとで「やっぱり使いにくい」「要らない機能が多くて、必要な機能が不十分だ」となると、損失が大きいです。
エクセルでのアンケート調査をしたいが調査票作成やダウンロード・アップロード画面の作成、集計が不安な方や、アンケート調査システムの利用に不安がある方など、ハンドレッドラボがサポートいたします。
ウェブサイトや紙での報告書作成も行っております。お気軽にご相談ください。