一般社団法人大阪知的障害者福祉協会様の啓発ポスターを2020年に作成させていただきましたが、その第2弾です。
前回は、福祉施設職員の方を対象としたポスターでしたが、今回は施設利用者である、知的障害のある方が対象です。今回も、支援スタッフの方が集まって企画・検討を進められて、弊社も参加させていただきました。
未完成で配布するポスター
最大の特徴は、「未完成」であることです。できたポスターは、ご覧いただくと分かるように、真ん中がなぜか空いています。このスペースには、施設職員の方の顔写真を貼っていただく想定です。
福祉施設で障害のある利用者さんが権利侵害されないためには、職員さんのスキルと意識、それを支える組織の在り方が第一なのですが、利用者さん自身にも、権利侵害の事象に対して疑問を持ったり、疑問を伝えたりしてほしい。知的障害があり、理解や表現が難しいからこそ、です。
そこでまず、利用者さんが啓発対象になりました。
知的障害のある方に「教えてほしい」を伝える
では、どうやって啓発するのか。
「権利とは」などと解説しても伝えるのは難しいだろうし、そもそもポスターを見てもらえないだろう。・・・話し合われた結果をまとめた方針が、以下になります。
- 支援スタッフは利用者さんの気持ちを聞きたいし、その実現を一緒に考えたいと思っているということを、利用者さんに伝える。
- 利用者さんが関心を持ちそうなビジュアルを入り口にして、立ち止まって話せるようなポスターにする。
- 職員の顔があれば、注目してもらいやすいのではないか。各施設の職員の写真を貼れるようにしよう。
これに沿って、コピーやビジュアルを提案させていただき、真ん中が空いた「未完成のポスター」が出来上がりました。
出発点は権利擁護でしたが、意思決定支援に焦点を当てた内容になりました。
ポスターの前で利用者さんと職員の方が立ち止まって、好きなものやしたいことについてコミュニケーションされる様子を思い浮かべながら作りました。頭に描いた様子が実現されることを願っています。