ドキュメンタリー映画「いまはむかし」(伊勢真一監督)を観てきました

ヒューマンドキュメンタリー映画祭<阿倍野>で「いまはむかし」の上映が行われたので観てきました。

伊勢真一監督の父伊勢長之助さんは、戦時中に映像編集者としてインドネシアに渡った。そこで日本語や隣組など日本文化を教育し 現地の人たちを日本人化することを目的としたプロパガンダ映画の製作に携わっていた。

長之助さんは生前、戦時中の経験を語ろうとしなかったという。そこで現地で制作された映画について知るため、インドネシアと当時インドネシアで制作された日本の映画の一部のフィルムが保管されているオランダを監督が訪れて、紐解いていくというお話です。

語られなかった父の思いに近づきたい。どんな気持ちで、どんな映画を作っていたんだろう。今も廃墟となって残っている、当時の映画製作所の薄暗い編集室。残されたフィルムにじっと目を凝らして思いを馳せる監督の姿が印象的でした。

また、あっけらかんと明るいインドネシアの人たち。戦時中を知る高齢の方が覚えていた日本語は、なんと「ばかやろう」でした。戦時下、恐怖で支配する・される状況だったことが垣間見えたことに衝撃を受けました。

30年前からこの映画の構想をしていたという監督が、映像制作に携わる息子さん、俳優として活動する娘さんと一緒に、長年の思いを映画という形にしていかれた様子も、みていて心温まりました。

今年8月に発行した「ウォロ」誌545号の「共感シネマ館」コーナーでも紹介されています。

https://osakavol.org/publishing/volo/bucknumber/2022/202208_544.html