出版コードを取得して出版事業を行うため、個人事業を法人にすることに。ちなみに、出版コードは個人でも取れますが、個人だと譲渡できないため、法人で取得しよう、と思った次第です。株式会社か合同会社か一般社団法人かで迷ったのですが、株式会社にしました。
合同会社か株式会社か
合同会社の良い点は、法人申請時の費用が、株式会社より安いこと。会社を作るときは、法務局という役所に「登記」をして初めて設立となるのですが、その登記の費用が合同会社だと株式会社より通常9万円も安いのです。
それ以外に、役員の任期の期限がないのもメリットです。株式会社の役員の任期は最長10年なので、最長でも10年ごとに登記しなければなりません(この登記の費用は、1万円~)が、合同会社は期限はありません。
また、株式会社は、毎年の決算を世の中に知らせる「決算公告」をする必要がありますが、合同会社は決算公告の義務がありません。(決算公告は迷った点の一つです。いずれ後述します)
一般社団法人か株式会社か
一般社団法人を候補にあげた一番のポイントは、私の場合は「公益的な案件が多い」ためです。対価をいただいてサービスを提供するという関係を超えて、クライアントさんと共に「よりよい社会づくりに取り組む」みたいな仕事が多いことから、非営利の法人格のほうが実態に似つかわしいのではないか、と思いました。
しかし、親交のある税理士さんに相談した際、「一般社団法人は持ち分が無いからねー」と言われたことが大きな判断材料になりました。個人事業からの法人成りは、自分がやってきた事業を法人で行うわけですから、その法人はやはり、明確に自分がオーナーであることが自然です。
また、稼ぐことだけを考えているわけではないですが、一定利益を得ることを前提とした法人として、やはり株式会社はよくできた法人格だと思います。合同会社にしたとしても「いずれは株式会社」を目指すと思うので、それなら最初からとっておこう、という結論になりました。
まず本を読んで、概要を知る
最初にしたのは、基本的な本を読むこと。私が読んだのは、「個人事業を会社にするメリット・デメリットが全部わかる本」(関根俊輔 著、新星出版社)。ポイントがよく整理されていて、分かりやすかったです。
株式会社にしたときにどのくらい負担が増えるのか
それでもやはり、迷う点は多々ありました。特に最初に不安に思ったのは、「どのくらい支出が増えるのか」です。
一般には、ある程度の年収――600万円とか、800万円とか、書かれているものによって違いはあるのですが、そのくらいの年収を超えたら法人成りしたほうが得だ、とされています。
私は残念ながら遠く及ばないので、株式会社にしたら収支面で「損」になるのは間違いないと思われました。それで、先述の税理士さんに、税金や社会保険などがどう変動するか、シミュレーションをお願いしました。
収支の変動が大きいので、過去3年の決算資料を見ていただきました。すると、「この年の決算だと、このくらいの給料であればこうなる」という試算を出してくださいました。どの年のシミュレーションでも残念ながら支出増でしたが、覚悟できる程度だったので、これで法人成りを決意。それから、法人成り1年目の売上と、人件費以外の費用の見込みを作ってお渡しして、自分の給与額の案を出していただきました。
専門家にお願いしたのは正解でした。自分でやっていたら、調べるのが大変な一方、精度の低いシミュレーションしかできなかったでしょう。このシミュレーションで、自分の給与をいくらにするかの目安と、設立後しばらくどのくらいの支出増を覚悟しないといけないか分かりました。その間は資本金でしのぎつつ、しっかりしたビジネスモデルを作ろう…という展望を描きました。
ここまでで、株式会社にすることを決め、自分の給料をどのくらいにするか、収支が大体どんな状況になるかの見通しを立てました。